2020年4月27日月曜日

Nutanix Filesの構築手順①(Filesの作成)

前回の記事(https://hanpamonoengineer.blogspot.com/2020/04/nutanix-files.html)でNutanix Filesについて簡単にご紹介させて頂きました。
今回はNutanix Filesの構築手順をご紹介させて頂きます。
Filesが利用可能になるまでは、Filesのデプロイ、共有フォルダの作成、アクセス権の設定などいくつかの作業を行う必要があるため、複数の記事に分けてご説明します。

なお、FilesをSMBで利用する場合はActiveDirectory、NFSで利用する場合はLDAPが必要です。
今回はSMBでの利用する手順をご紹介させて頂くため、ActiveDirectoryの環境を予め用意しております。

Prismにログインし、上部左側のメニューから「File Server」を選択します。

「+File Server」を選択します。


構築時はFilesで必要となる環境が不足している場合は、以下のような画面が表示され、
Filesのバイナリをダウンロード、iSCSI Data Services IPの設定、Filesで利用するネットワーク設定が必要になります。

①「Download or Upload File Server Software」のリンクからFilesのバイナリを取得します。
特に要件がなければ最新をバイナリをダウンロードします。
なお、Filesのバイナリ取得はOn Click Upgradeと呼ばれる、Nutanixの各ソフトウェアを更新出来る機能を利用して取得されます。
(今回はバージョン3.6.3を利用します)

ダウンロード完了後は、右上の「✕」をクリックして前の画面に戻ります。

②「Add Data Services IP」からiSCSI Data Services IPの設定を行います。
[iSCSI Data Services IP]とはNutanixのストレージをiSCSIプロトコルで外部から利用する場合に利用するIPアドレスとなりますが、Filesの内部的な動作を行うためにこの設定が必要になります。
入力後、「Save」を選択します。

③「Add Network」からFilesで利用するネットワークの設定を行います。
すでに仮想マシンで利用するネットワークを作成している場合がほとんどだと思いますが、こちらからネットワークの作成が行えます。

条件を満たすと、青いチェックが表示されます。
全ての条件を満たし「Continue」を選択します。


ここからFilesの設定を行っていくことになります。
項目[Name]にはFilesのホスト名、項目[Domain]はActiveDirectoryのドメイン名、項目[File Server Storage]にはFilesで利用する容量を入力します。(TB単位)
Capacity ConfigurationはデプロイするFSVMのリソースが表示されます。
「Customize」を選択することで、FSVMのリソースを変更できます。

入力後、「Next」を選択します。

クライアント側のネットワークを設定します。
ここで設定するネットワーク情報はFilesを利用するクライアントが接続出来ることに加え、ActiveDirectory及びDNSに通信出来る必要があります。


はじめにネットワークを選択し、サブネットマスクとゲートウェイを設定し、中央あたりの「IP addresses」を選択することで、FSVMのクライアント側IPアドレスを設定するテキストが表示されます。
ここでIPアドレスはFSVMの数だけ必要になります。
合わせて、DNSとNTPの入力を行います。
入力後、「Next」を選択します。

次はFSVMのストレージ側のネットワークを設定します。
同様にネットワーク情報を入力しますが、ここで設定する内容は先程のクライアント側ネットワークと同じセグメントで利用することも可能です。
また、ここではFSVM数+1(仮想IPアドレス)のIPアドレスが必要になります。
入力後、「Next」を選択します。

ディレクトリサービスの認証情報を入力します。
今回はSMBの手順をご紹介しているため、「SMB」にチェックを入れます。
利用するActive Directoryの認証情報を入力し、「Next」を入力します。

最後に入力した内容の確認を行います。
下部のProtectionではバックアップに必要なProtectionDomainを自動で作成することが出来ます。
過去の記事(https://hanpamonoengineer.blogspot.com/2020/02/nutanixprotectiondomain.html)でもご紹介したバックアップ機能をFilesでも利用することが可能なので、このままチェックを入れておくことを推奨します。
入力内容に問題がなければ、「Create」を選択します。

Filesの作成が開始され、問題がなければ5分ほどで完了します。

合わせて、ActiveDirectoryのアカウントとDNSレコードの作成が自動的に行われます。

また、最後の「Protection」にチェックを入れている場合は、ProtectionDomainも自動的に作成されています。
(要件に合わせてスケジュールの設定などを行って下さい)

以上でFilesの構築は完了です。
ただし、現状はファイルサーバーが出来上がっただけの状態なので、この後に共有フォルダの作成を行う必要があります。
次回はFiles上に共有フォルダを作成する方法についてご紹介します。

2020年4月20日月曜日

Nutanix Filesの紹介

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※追記※
Files関連の記事を徐々に追加しているので良ければ、以下からご覧ください
Nutanix Filesの構築手順①(Filesの作成)
Nutanix Filesの構築手順②(共有フォルダの作成)
Nutanix Filesの構築手順③(アクセス権とクォータの設定)
Nutanix Files(共有フォルダの種類と負荷分散)
Nutanix Filesのバックアップと復元(Self Service Restore)
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今回はNutanix Filesと呼ばれるファイルサービス(ファイルサーバー)機能をご紹介します。
以前はAcropolis Files System(AFS)と呼ばれていた機能が名称変更されたものになります。
プロトコルはSMB(Ver1は未対応)、NFSが利用可能です。


FilesはNutanixの各ノードで展開されるFSVMと呼ばれるNASヘッドの役割を持つ仮想アプライアンスで、クライアントからの負荷分散と冗長構成による高可用性を備えたファイルサーバーを提供します。
このFSVMは3台から最大16台で構成され、各ノードで1台まで構成可能です。
そのため、Nutanixクラスター内のノード数よりも多くのFSVMを構築することはできません。

Nutanixのノードがダウンした場合や、FSVMに障害が発生した場合はファイルサービス機能を他のFSVMが引き継ぎ、継続してファイルサーバーの利用が可能です。

さらにNutanix従来の特徴も引き継いでおり、スモールスタートからのスケールアウトも細かく柔軟に実施が可能です。
FSVMがまだ存在しないノードや新規ノードに新たなFSVMを増やすことや、FSVMのCPUやメモリリソースを増やすなど柔軟に行うことが出来ます。

Nutanix Filesはこのように拡張性、可用性、パフォーマンスに優れ、他のファイルサーバーと比較しても優位性のある機能になります。
外部またはNutanix内にWindowsファイルサーバーを構築しファイルサーバーを提供することも出来ますが、このような高機能を実現するには構築、運用ともに手間が掛かってしまいます。
Nutanix Filesであればこのような機能を利用出来るだけでなく、Nutanixで統合した管理と運用が行うことが出来る点も大きなメリットだと思います。

このNutanix FilesはPrismから簡単かつ短時間で導入することが出来ます。
次回はこのNutanix Filesの導入方法についてご説明させて頂きます。


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※追記※
Files関連の記事を徐々に追加しているので良ければ、以下からご覧ください
Nutanix Filesの構築手順①(Filesの作成)
Nutanix Filesの構築手順②(共有フォルダの作成)
Nutanix Filesの構築手順③(アクセス権とクォータの設定)
Nutanix Files(共有フォルダの種類と負荷分散)
Nutanix Filesのバックアップと復元(Self Service Restore)
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2020年2月17日月曜日

Nutanixでバックアップスケジュールの作成(Protection Domain)

前回の記事(https://hanpamonoengineer.blogspot.com/2019/12/nutanix.html)でNutanixのバックアップとして使えるスナップショットについてご紹介しましたが、実際の運用ではスケジュールを組んだりと諸々考慮する点があるかと思います。

今回はProtection Domain(イメージとしてはバックアップジョブのようなもの)を構成し、仮想マシンのバックアップ(スナップショット)を取得する方法をご紹介します。
 ※この記事内では、バックアップ=スナップショットとイメージしてご覧下さい。

なお、Protection DomainにはAsync DRとNearSync DRの2種類が存在し、この記事ではAsync DRについて紹介をします。

Protection Domainの構成とスナップショット取得
左上のプルダウンメニューから「DataProtection」を選択し、右上から[+Protection Domain] - [Async DR]を選択します。

作成するProtection Domainの名前を入力し「Create」をクリックします。
(バックアップジョブのようなイメージで命名すると、運用しやすいと思います)

画面左側にNutanixクラスター上の仮想マシン一覧が表示されます。
保護対象の仮想マシンを選択し、画面下の「Protect Selected Entities」をクリックします。

画面右側に保護対象仮想マシンのリストへ追加されます。

また、青枠内で表示されている項目について補足させて頂くと、Consistency Groupというグループを新規に作成するか、既存のものを利用するか選択が出来ます。
Consistency Groupとは、複数の仮想マシンProtection Domain内で定義するサブグループでシステムで関連する仮想マシンを同時にバックアップする必要がある際に利用します。
Consistency Group内の仮想マシンは一つのスナップショットとして管理されることになります。

もう一つ「Use application consistent snapshots」はアプリケーション整合性を持ったバックアップの取得を行うか選択します。
NutanixではNGT(Nutanix Guest Tools)というエージェントがインストールされていれば、VSSと連携してアプリケーション静止点を作ることが可能です。
 ※NGTは別途インストールを行う必要があります。

保護対象の仮想マシンをすべて選択出来ましたら、「Next」を選択します。

次はスケジュールの設定を行います。
右上の「New Schedule」をクリックします。

赤枠左上から1分単位、1時間単位、1日単位、または各曜日、各月からバックアップ頻度の指定を行い、初回バックアップの日時を指定します。
青枠右側はバックアップの保持するクラスターと数を指定します。
 ※青枠内は別サイト(拠点)をPRISMに登録している場合、異なるサイトを指定することも可能です。
例えば、上記画像の場合は平日のAM0時にバックアップスケジュールを設定し、初回のバックアップを2020/2/20に実行する場合の設定画面になります。
設定後、「Save」をクリックします。


設定したスケジュールが登録されていることを確認し「Close」をクリックし、設定を完了します。

以降は設定したスケジュールをもとにバックアップが取得されます。
また、スケジュールに関係なくバックアップを取得したい場合は、「Take Snapshot」から任意のタイミングと保持期間を指定してバックアップの取得が可能です。


バックアップ(スナップショット)からのリストア
バックアップからリストアを行う方法を紹介します。
画面の下部から[Local Snapshots]を選択すると、バックアップの取得状況が確認出来ます。
リストアを行うタイミングのバックアップを選択し、右の「Restore」をクリックします。


バックアップに含まれる仮想マシンが表示されますので、リストア対象の仮想マシンを選択し、仮想マシンのリストアを行います。
ここで「Create new Prefix」を選択すると、テキストに入力した文字列を追加した仮想マシンのクローンが作成されます。

リストア直後は仮想マシンが停止した状態のため、手動で起動を行う必要があります。

前回の記事で簡単にご紹介したとおり、Nutanixのスナップショットはブロックをポインターベースで管理しているため、実際のデータ読み書きは発生せず僅かな時間でリストアの動作は完了します。


今更な内容でしたが、少し前にNutanixのスナップショット及びバックアップ機能をご存知ない方もいらっしゃいましたので、簡単にですがご紹介させて頂きました。

Nutanixをご利用であれば、特別な要件がない限りサードパーティ製のバックアップソフトを用意することなくバックアップの取得が可能になります。
ここでご紹介した内容は、実際にご購入頂いた場合も上位のライセンスは不要のため、まずは気軽にご利用を検討頂ければと思います。