前回の記事ではNutnaix CE上にHYCUをインストールしてみました。
今回はHYCUでバックアップを取得してみようと思います。
HYCUの初期設定
前回はHYCUをただインストールしただけなので、バックアップを取得するために必要な設定を行っていきます。
ハイパーバイザーの登録
HYCUはバックアップ対象のハイパーバイザーを登録する必要があります。
ハイパーバイザーを登録する際はクラスターの仮想IPアドレス(VIP)を指定するため、まずはPrismから仮想IPアドレスの設定を行います。
Prism左上のクラスター名をクリックすることでポップアップが表示されます。
ここのVirtual IPに対して、任意のIPアドレスを入力して「Save」をクリックします。
クラスターVIPの設定はこれで完了です。
次にHYCUからハイパーバイザーを登録します。
ログインすると表示されるダッシュボードから、上部にあるギアアイコンをクリックして「Sources」を選択します。
表示されたポップアップ上部の[HYPERVISOR]タブを選択して、「+New」をクリックします。
[URL]に「https://{クラスターVIP}:9440」を入力し、[ユーザー名]と[パスワード]にはPrismのログイン情報を入力します。
Prismに接続できると、このような画面に遷移します。
登録が完了すると、ハイパーバイザーの情報が表示されます。
バックアップ先の登録
バックアップ先となるNASの登録を行います。
HYCUではバックアップ先をTarget(ターゲット)と表現しています。
今更ですが、今回は外部に設置してるファイルサーバーにバックアップを取得する想定でで環境を作ってみます。
左側メニューから「Targets」を選択し、上部の「+Add」をクリックします。
任意のターゲット名、ターゲット先の種類とIPアドレス、共有名、認証情報などを入力します。
なお、ターゲットにはTYPEからNAS(SMB,NFS)、iSCSI、AWS S3を始めとしたクラウドストレージなど、様々な種類が利用できます。
正常に設定が完了すると、ターゲットが一覧に表示されます。
ポリシーの作成ポリシーはHYCUの特徴的な仕組みの一つであり、バックアップのタイミングや世代数など、いわゆるバックアップジョブに対して行う設定をポリシーに行います。
このポリシーをバックアップ対象の仮想マシンなどに割り当てることで、管理を行います。
左側メニューから「Policies」を選択し、上部の「+Add」をクリックします。
ここで、ポリシーに設定する項目を簡単に説明します。
HYCUは一般的なバックアップ製品と異なり、バックアップを開始する時間を指定しません。
代わりに[BACKUP EVERY](どの時点まで復旧可能か{RPO})、[RECOVER WITHIN](復旧まで許容できる時間を指定{RTO})、[RETENTION](保持期間)などを設定します。
他にも細かなオプションを設定することで非常に細かな要件を満たすことができますが、今回はシンプルな設定にしておきます。
[BACKUP EVERY]・・・1Days
[RECOVER WITHIN]・・・1Days
このように指定することで、ポリシーを適用した仮想マシンは1日前のリカバリーポイントが7世代作成されます。
最下部の[TARGETS]には先ほど登録したバックアップ先を選択して、「Save」をクリックします。
一覧に作成したポリシーが追加されます。
作成したポリシー以外にもデフォルトで作成されているポリシーがいくつか存在しますが、今回は利用しません。
ポリシーの適用と初回バックアップ
作成したポリシーを仮想マシンに適用します。
左側メニューから「Virtual Machines」を選択し、「Policies」をクリックします。
ポリシーの一覧がポップアップに表示されます。
先ほど作成したポリシーを選択して、「Assign」をクリックします。
保護対象の仮想マシンを選択すると、画面下部に仮想マシンのリカバリーポイントが表示されます。
ポリシーを適用すると初回のフルバックアップが自動的に開始されるようです。
[BACKUP STATUS]列はバックアップが成功すると緑のステータスで表示されます。
[COMPLIANCE]列はポリシーで設定したBACKUP EVERYとRECOVER WITHINの条件が満たされていると緑のステータスで表示されます。
以降はポリシーの設定にしたがって、バックアップが取得されていきます。
また、任意のタイミングでバックアップを取りたい場合は、上部の「Backup」から手動でバックアップを開始できます。
リストア
最後に取得したバックアップから仮想マシンのリストアを行ってみます。
復旧対象の仮想マシンを選択し、リストアしたいリカバリーポイントを選択した状態で「Restore VM」をクリックします。
「Restore VM」を選択して、「Next」をクリックします。
デフォルトの状態で、「Restore」をクリックすることでリストアが開始されます。
デフォルトの状態でリストアすると、自動的に仮想マシンが起動します。
リストアした仮想マシンにログインしてみると、稼働中の仮想マシンからバックアップした状態なので、強制終了を示すウィンドウが表示されていることが確認できました。
以上でリストアは完了です。
ここまでのまとめ
今回の記事ではHYCUの初期設定から、バックアップとリストアまでを試してみました。
ポリシーの仕組みは少し特殊な作りになっていますが、このあたりを細かく調整することで他のバックアップ製品では満たせない要件もHYCUで実現ができたりします。
細かな設定を行わない場合でも、HYCUのインストールから構築、バックアップとリストアまで簡単に実施することができます。合わせて、ここまで試された方はお気づきかもしれませんが、HYCUは基本的にエージェントレスでバックアップを取得することができるので、仮想マシンにエージェントをインストールする面倒な作業も必要ありません。
このようなバックアップ製品がNutanix CEでは無償で利用できるため、興味がある方はぜひお試しください。
なお、今回の環境ではNutanix CEの筐体に障害が発生するとHYCUも利用できなくなるため、HYCUについても同様にバックアップを取得して障害時は復旧を行う必要があります。
そのような場合でも、割と簡単に環境の復元ができるので、その方法についてもどこかで紹介できればと思います。
最後に
HYCUの管理画面は現バージョンでは英語表記になります。
しかしながら、ブラウザで操作を行うためChromeなどの翻訳機能である程度日本語化することが可能です。
また、近日中に正式に日本語化対応も行われるようなので、今後は企業に導入されるケースも増えてくるのかなと思っています。