2019年12月12日木曜日

Nutanix CEの構築手順

※追記
本記事は2019年の記事となり、2020年末の時点では情報が古い部分があります。
2020年10月頃にリリースされたNutanix CE v5.18をベアボーンにインストールした記事を新たに投稿したので、よろしければそちらをご覧ください。
前回の投稿でお伝えしたとおり、Nutanix Community Edition(以降、CE)と呼ばれる体験版が利用可能になるまでの手順をご紹介させて頂きます。
CEはNutanixの独自ハイパーバイザーであるAHVで構築されますので、そちらの操作感などを体験頂けると思います。

また、Nutanix CEの構築方法については、すでに多くに方が情報を発信されておりますが、導入時期(正確には時期により、公開されているバージョンが異なること)によって導入手順が異なる場合があるようです。
そのため、今回のブログは2019年12月時点のCEインストール手順として参考にして頂ければと思います。


インストーラーのダウンロード
インストーラーをダウンロードするために「My Nutanix」というメーカーサイトに登録を行う必要があります。

My Nutanix ログインページ:https://my.nutanix.com

登録してログイン後、インストーラーをダウンロード出来るページまで移動するのは少し手間がかかるため、以下のURLに直接アクセスします。
ダウンロードページ:https://next.nutanix.com/download-community-edition-15/download-getting-started-with-ce-5-11-24210

このようなページに移動されます。
ページ下部にある、以下のリンクからダウンロードして下さい。
 ※拡張子が「.img.gz」のものが対象です。

ダウンロード後は、任意の解凍ソフトで「.img」の形式に解凍します。



ESXi上にネストで構築
ここから実際の構築作業に入っていきます。

初めは物理サーバーに対してインストールを行おうと考えていたのですが、実際に検証を行いたいときに物理サーバーを用意するのは難しいと感じましたので、ESXi上にネストで動作する環境を構築することにしました。
なお、本環境のESXiのバージョンは「6.0.0, 3620759」になります。


1.Nutnaix CE用の仮想マシンを作成
Nutanix CEを動作させるための仮想マシンを以下の構成で作成します。
また、今回はvSphere ClientのHTML5版から操作を行っています。
 ・仮想マシンバージョン:11
 ・ゲストOSの選択:Red Hat Enterprise Linux 7(64bit)
 ・vCPU:8 ※最低要件4
  →「仮想 CPU パフォーマンス カウンタの有効化」にチェック
  →「ハードウェア アシストによる仮想化をゲスト OS に公開」にチェック
    ※こちらの環境ではEVCが有効な環境ため、チェックを外しています。

 ・メモリ:32GB ※最低要件16
 ・※新規で作成されるハードディスクを削除

 ・インターネットに接続可能なインターフェース
   ※ライセンス認証を行うため、インターネット接続出来る必要があります。


仮想マシン作成後、仮想マシンを配置したデータストアを選択し、作成した仮想マシンのディレクトリに先程ダウンロードしたCEのインストーラーをアップロードします。
また、このディレクトリに「.vmdk」ファイルが存在しないことを確認します。
(.vmdkファイルは仮想ディスク用のファイルですが、仮想マシン作成時にディスクを削除しているため表示されないことが正の状態です)


2.作成した仮想マシンフォルダにSSHで接続&事前準備
仮想マシンを作成した先のフォルダにSSHで接続を行います。
なお、ESXiへのSSH接続はデフォルトでは無効の状態になっていますので、有効化します。

TeraTermなどのターミナルソフトからrootユーザにてSSHで接続を行います。
認証情報入力時、TeraTermでは「キーボードインタラクティブ認証を使う」でパスワードを入力します。

ログイン後、以下のディレクトリに移動します。
/vmfs/volumes/{仮想マシンを作成したデータストア名}/{作成した仮想マシン名}

私の場合は、「Datastore02」というデータストアに「ma-NutanixCE」という仮想マシンを作成したので、
・コマンド【cd /vmfs/volumes/Datastore02/ma-NutanixCE】
と入力することで対象のディレクトリに移動出来ます。


ここに、CEをインストールするための仮想ディスクをviコマンドなどを用いて手動で作成します。
・コマンド【vi ce.vmdk】
ファイルの内容は以下の内容をコピーして貼り付けます。
----ここから----
# Disk DescriptorFile
version=4
encoding="UTF-8"
parentCID=ffffffff
isNativeSnapshot="no"
createType="vmfs"

# Extent description
RW 14540800 VMFS "ce.img"

# The Disk Data Base
#DDB
ddb.adapterType = "lsilogic"
ddb.geometry.cylinders = "905"
ddb.geometry.heads = "255"
ddb.geometry.sectors = "63"
ddb.virtualHWVersion = "11"
----ここまで----
※9行目の「ce.img」の内容ですが、こちらは先程アップロードしたCEのインストーラー(.img)の名前を指定します。
インストーラーの名前を変更するか、こちらの行を調整するかお好みに合わせて対応して下さい。


3.仮想ディスクの追加
先程作成した仮想マシンにディスクの追加を行います。
ここで追加を行うディスクは
 ①先程手動で作成した、vmdkファイルを既存のハードディスクとして作成。
 ②200GBの新規ディスク(シンプロビジョニング)
 ③500GBの新規ディスク(シンプロビジョニング)
   ※順番に注意!
ここまで設定が完了後、初めて仮想マシンをパワーオンします。

正常に起動が完了すれば、以下の画面が出力されます。
CentOSと表示されており、私が初めて実施したときは変な所からブートしたと思いましたがこれが正の状態になります。


4.インストール直前の調整
インストールを行う前に、CLIから以下の調整を行います。
 ①キーボード設定の日本語化
 ②インストールディスクをHDDからSSDへ認識させるための調整
 ③仮想マシン設定ファイルの調整

①キーボード設定の日本語化
デフォルトのキーボード設定が英字になっているため、日本語に切り替えます。
CLIの画面で「install」ユーザー(パスワードなし)でログインすると、キーボード設定の画面が表示されますので、「jp106」を選択し、「Proceed」から次へ進みます。
次にインストール先のディスクに関する確認画面が表示されますので、同じく「Proceed」から次へ進みます。
ただし、この状態では以下のようにインストールに失敗してしまいます。
Nutanixは製品の性質上、SSDの領域を必要とするため本環境のようなHDDが利用される場合や仮想マシン上に作成する場合は後述の設定にて、SSDとして認識させる必要があります。

②インストールディスクをHDDからSSDへ認識させるための調整
一度「install」ユーザーからログアウトし、「root」ユーザー(パスワード:nutanix/4u)でログインし直します。
ログイン後、以下のコマンドで設定を変更します。
・コマンド【echo 0 > /sys/block/sdb/queue/rotational】
このファイルの設定が1の場合はHDD、0の場合はSSDとして認識されるようです。

③仮想マシン設定ファイルの調整
この状態でCEのインストールを行うと、構築したCE上で仮想マシンを起動する際に正常に起動・操作が全く行えなくなります。
この問題を回避するために2つのファイルに編集を行います。

以下のコマンドを実行し、ファイルの編集を行います。
・コマンド
【cd /var/cache/libvirt/qemu/capabilities/】
vi 3c76bc41d59c0c7314b1ae8e63f4f765d2cf16abaeea081b3ca1f5d8732f7bb1.xml

viエディタで開くと、下の方に以下の記述があります。
----ここから-一部抜粋----
 <machine name='pc-i440fx-rhel7.3.0' alias='pc' hotplugCpus='yes' 
maxCpus='240'/>


 <machine name='pc-i440fx-rhel7.2.0' hotplugCpus='yes' maxCpus='240'/>
----ここまで----

この内容を以下の通り、変更を加えます。

----ここから-一部抜粋----
 <machine name='pc-i440fx-rhel7.2.0' alias='pc' hotplugCpus='yes' 
maxCpus='240'/>



※行ごと削除する!
----ここまで----
編集前

編集後
上記画像のように編集を行います。

続けて、以下のコマンドでもう一つのファイルを編集します。
・コマンド
【cd /home/install/phx_iso/phoenix/svm_template/kvm】
vi default.xml】
----ここから-一部抜粋----
    <type arch='x86_64' machine='pc'>hvm</type>


    <pae/>
----ここまで----

この内容を以下の通り、変更を加えます。

----ここから-一部抜粋----
    <type arch='x86_64' machine='pc-i440fx-rhel7.2.0'>hvm</type>



    <pae/>
    <pmu state='off'/>
----ここまで----

編集前

編集後
先程と同じように編集します。

※細かな内容は異なりますがこれらの変更を加えないと、以下URLでアップされている画像のような事象が発生します。
 https://next.nutanix.com/installation-configuration-23/vm-boot-31694


5.CEのインストール
前項番①~③までの作業が完了後、再度「install」ユーザーでログインし直します。
キーボード設定後は先程と異なりネットワーク情報の設定画面が表示されます。
ここで、NutanixのハイパーバイザーであるAHVホストのネットワーク情報と、AHV上で動作するCVM(Controller VM)という、仮想基板上のI/Oをコントロールする仮想アプライアンスのネットワーク情報を入力します。
合わせて、「Create single-node cluster」にチェックを入れ、DNSサーバーのアドレスを入力し、EULAの項目を一番最後までスクロールして「accept the end user license agreement」にもチェックを付けます。
※CVMはNutanixを構成する非常に重要な要素の一つになりますので、こちらについては改めて詳細をご紹介出来ればと思います。
 今は1仮想ホストに必ず1CVMが必要になるということをご認識下さい。

最後に、下部の「Start」を選択するとインストールが開始されます。
環境によりますが、20分程で完了します。
インストール完了後、CVMのIPアドレスにブラウザからNutanixの管理画面「Prism」のログイン画面にアクセス出来ます。
初期の認証情報は、ユーザー名「admin」パスワード「nutanix/4u」です。

初回ログイン時、パスワードの変更を求められるので任意のパスワードを設定し、再度ログインし直します。


ログインすると、CEの場合のみライセンス認証のフェーズが発生します。
この際に、インターネット上に存在する認証サーバと通信を行う必要があります。
CEのインストーラーをダウンロード際にアクセスしたMy Nutanixの認証情報(usernameはメールアドレス)を入力します。

認証に成功すれば、管理画面「Prism」のホーム画面が表示されます。



インストール後の確認作業
最後に仮想マシンが正常に起動出来るか確認を行います。

本ブログの項番2-4で行った作業を実施しても、仮想マシンの起動に失敗する事象が確認されていますので、失敗する場合は後述の設定を行います。

まずは動作確認を目的に、仮想マシンの作成を行います。
はじめに仮想マシンにインストールするOSのイメージをアップロードします。

Prismホーム画面右上の歯車マークを選択します。

画面左側の「Image Configuration」を選択し、画面中央の「+Upload Image」を謳歌します。

項目[Neme]に任意の名前を入力し、項目[Image Type]に「ISO」に選択します。
項目[Storage Container]はデフォルトのままで、項目[Image Source]は[Upload afile]を選択し、対象のISOイメージを選択してアップロードします。

アップロードが完了したら、仮想マシンの作成を行います。
Prismホーム画面上部から項目「VM」を選択します。

画面右上の「Create VM」をクリックします。

項目[Name],[vCPU],[Memory]に任意の値を入力し、[Disks]内の「CD-ROM」右の編集ボタンを押下します。



項目[Operation]は「Clone form Image Service」を選択し、[Image]に先程アップロードしたISOファイルが選択されていることを確認し「Update」を押下します。
※ここでISOファイルが選択出来ない場合、前の手順で実施したイメージアップロードの際に、項目[Image Type]で「DISK」が選択されていた可能性があります。
 その場合は再度イメージのアップロード画面に戻り、「DISK」から「ISO」に変更する必要があります。

残りの項目はすべてデフォルトの状態で、「Save」を押下します。
※ここでは実際にOSのインストールは実施しないので、OSをインストールするディスクやNICを追加する必要はありません。

しばらくすると作成した仮想マシンが一覧に表示されます。
仮想マシンを選択し「Power on」で仮想マシンを起動後、「Launch Console」で仮想マシンのコンソール画面を確認します。

正常にISOファイルからブートが行え、OSインストール画面が表示されていれば成功です。

失敗した場合は恐らく以下のようなメッセージが表示され、以降の操作が出来なくなってしまいます。

この場合は、一度仮想マシンを停止して、項番5で指定したCVMのIPアドレスに対して
nutanixユーザー(パスワード:nutanix/4u)でSSH接続を行い以下のコマンドを実行します。
・コマンド
【acli vm.update {仮想マシン名} extra_flags=machine_type=pc-i440fx-rhel7.2.0】

再度仮想マシンを起動して、OSのインストール画面が表示されていることを確認します。



長くなってしまいましたが、以上でNutanix CEの初期構築作業は終了です。

今回はとりあえず実際に触って頂く目的でNutanix CEの構築方法についてご紹介しましたが、次回はそもそものNutanixの特徴についてご紹介しようと思います。


ここまでの情報は以下のサイトを参考にさせて頂いております。
参考サイトURL① : https://blog.ntnx.jp/entry/2018/03/05/022159
参考サイトURL② : https://www.n-novice.com/entry/2019/03/24/140000
参考サイトURL③ : http://ponkotuse.blogspot.com/2018/12/nutanix-ce.html

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