2021年9月27日月曜日

Nutanix(ESXi)からNutanix(AHV)への仮想マシン移行(Move編)

Nutanixが多くの企業で利用されるようになってから数年がたち、最近Nutanixのリプレースに関するお話を頂くことが増えて来ているように感じます。

私が対応している案件ではNutanixから他の環境(クラウドや他のHCI、3Tier)に移行したいという話は一つも聞くことがなく、再度Nutanixを調達されるということがほとんどのように感じています。

この際、同じハイパーバイザー間で移行、例えばESXi→ESXi、AHV→AHVという形であれば仮想マシンの移行作業作業は必要なく、既存クラスターに新しいノードを拡張し、古いノードを撤去するだけで簡単に機器を入れ替えることがです。

ただし、ESXi→AHVというように新しいNutanixで異なるハイパーバイザーを利用する場合は仮想マシンの移行について考えなければいけません。

今回は移行元のNutanixでESXi、移行先のNutanixでAHVを利用する場合の仮想マシン移行方法について、私なりの方法をまとめてみました。


移行方法

移行方法はNutanixから提供されているNutanix Moveと呼ばれる移行ツール、またはNutanixに標準で備わっているAsync DRとレプリケーション機能を組み合わせて利用するかのどちらか2つの方法を選択することになるかと思います。

この記事ではNutanix Moveで移行したパターンを紹介します。

Nutanix Moveで移行

Nutanix MoveはNutanixから提供される無償の移行ツールです。
Moveについては、以下のブログで詳しく紹介されています。
少し古い記事ですが、現在の最新バージョン4.1とそこまで大きな違いはありません。

Moveの使い方や特徴は本記事では割愛させていただきますが、構築、設定含め簡単に使えるツールとなっているのに加え、移行時のダウンタイムが非常に小さいなどのメリットがあります。

よくあるパターンとしては、3TierのESXi→AHVというような感じの移行を行う場合に利用されます。

移行元がNutanixの場合でも、ESXiまたはvCenterを指定して仮想マシンを移行することが可能です。
まず、移行先がAHVの場合はWindows仮想マシンへVirtIOドライバーがインストールされていないとまともに動かないので、VirtIOドライバーを導入する必要がありますが、Moveは移行時にVirtIOドライバーを自動的にインストールしてくれる機能が備わっています。


・移行元のESXi上で仮想マシン(Windows Server 2016)
移行元の仮想マシンでは固定IPを設定し、VMware Tools以外は特にインストールされていません。

この仮想マシンをMoveに登録し、移行の準備を行います。
これはMoveの設定画面の一部ですが、ここでVirtIOドライバーの自動インストールや移行先でMACアドレスを引き継ぐなどのオプションが設定できます。
今回はIPアドレスを移行先で引き継ぐオプションを選択してみます。

移行プラン作成後、自動的にVirtIOドライバーがインストールされていることが確認できます。(自動インストールにはVMware Toolsがインストールされていて、UACが無効化されている必要があります)
このタイミングで移行元の基盤でスナップショットを取得して、移行先に転送します。


Move画面からCutoverを選択することで、移行元の仮想マシン停止と移行先で仮想マシンを自動起動します。(一度再起動が行われます)
青枠には移行にかかる時間が表示される。

移行先のAHVで自動機能

移行先のNutanixで自動起動後、IPアドレスも移行元の環境と同様の設定が行われていることが確認できます。
このようにIPアドレス設定を保持した状態で、簡単に仮想マシンを移行することが可能です。

注意点

移行元の仮想マシンのNICタイプがVMXNET3が選択されている場合、移行先でうまくIPアドレスを引き継ぐことができず、DHCPから取得される設定になっていました。
現在のvSphere 7ではデフォルトがE1000になっていますが、VMXNET3のほうがパフォーマンスに優れるため、利用している環境は少なくないと想定されるので、環境によっては移行後の仮想マシンにて手動でIPアドレスを設定する必要が出てくると思われます。



ざっとNutanix Moveの制限事項を確認しましたが、VMXNET3だとIPアドレスが引き継げないという記載は見当たらなかったので、何かしら手を加えればできるかもしれませんが今回はこのような結果になりました。
移行元の環境でE1000を利用している場合は、移行先でIPアドレスを個別に設定する必要がないため、移行対象の仮想マシン台数が多い場合にはMoveでの移行も検討の余地があるかと思います。

次回はAsync DRを使った仮想マシンの移行について紹介してみます。